2009.12.09
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アイレップSEM総合研究所、
2009年検索エンジンマーケティング業界10大ニュースを発表
株式会社アイレップ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長COO:紺野俊介)SEM総合研究所は、2009年の検索エンジンマーケティング(SEM)業界における10大ニュースを発表します。SEM専門企業アイレップならではの視点で選定をしました。
2009年もインターネットマーケティングで話題の中心となったSEMですが、様々な変化が起き、企業の広告・マーケティング担当者をはじめ、多くの関係者にとって目を離すことのできない1年でした。
そこで今回、アイレップ SEM総合研究所では2009年のSEM市場における最重要な10大ニュースを選定しました。選定にあたっては日本のSEOの第一人者でもあるSEM総合 研究所 所長の渡辺隆広を中心に討議を重ね、影響度の高いものを選定いたしました。また各々のトピックにつき、解説を付記しています。
【2009年検索エンジンマーケティング業界10 大ニュース】
1.米Microsoftと米Yahoo!が検索事業で提携、Googleを追撃
何度も提携の可能性が報道されつつも破綻してきた米Microsoftと米Yahoo!の提携話。この両者がついに合意し、2009年7月末に発表されました。米Yahoo!が自らの検索技術や広告プラットフォームを捨てて米Microsoft (Bing)にリプレースする、米MicrosoftがYahoo!に検索広告の収益に応じたトラフィック獲得コスト(TAC:Traffic Acquisition Costs)を支払うなどの取り決めがなされています。今後、規制当局による承認を経て具体的に提携が進展するであろう2010年には、検索マーケティング業界に様々な影響が出ることが予想されます。とりわけ日本ではソフトバンクとの合弁企業であるYahoo! JAPANがどのような動きに出るかにも目が離せません。
関連:Yahoo!とMicrosoftが検索事業で提携、検索プラットフォームはBingに一本化
2.Microsoft、満を持して「意思決定エンジン」Bingをリリース
インターネット検索事業に多額の投資をしつつも、Googleとの検索シェアは引き離され続けていたMicrosoft。同社が今年6月、満を持して “Decision Engine” (意思決定エンジン)とのコンセプトを銘打った新しい検索エンジン・”Bing”(ビング)を公開しました。検索の利用シーンや目的が多様化したこと、オンライン情報が爆発的に増え続けている今日のウェブを反映し、ユーザの検索を通じた「意思決定」を円滑に行うための様々な新機能・UIを備えた検索サービスとなっています。検索の専門家からも高い評価を得ています。
ただし、検索シェアは増加傾向にあるものの、そのシェアはGoogleではなく提携相手であるYahoo!から奪っているとの指摘もあり、来年以降、ライバルからのシェア奪還のためのテコ入れが求められています。
関連:米MS、新検索エンジン「Bing」発表 – コンセプトは「ディシジョン・エンジン」
3.ウェブの「いま」を検索可能に – 検索各社、リアルタイム検索に着手
Twitterがブレイクしたのを受けて、オンライン上のいま・最新の情報にもアクセスしたいというニーズも明確に出てきた検索市場。しかしGoogleをはじめとする検索各社は、文字通りリアルタイムな情報を検索することを上手くこなしているわけではありませんでした。また、Twitterで交わされる無数のつぶやきを全て網羅して検索可能にすることは技術的にも限界があります。
そこでGoogle、Yahoo!、Microsoftの3社はTwitterと提携することで、この課題にチャレンジすることとなりました。Googleは12月にリアルタイム検索を発表、検索結果に専用のセクションを設け、まさにリアルタイムに検索結果が刻一刻と変化するサービスを開始しました。Yahoo!、Microsoftは現時点で正式リリースしていませんが、2010年に各社工夫を凝らしたサービスを提供してくると思われます。
ただしリアルタイム検索の領域はまだ始まったばかり。つぶやき(Tweet)をそのまま検索結果に表示するのか、それとも、つぶやきの解析を通じて生み出されるデータを検索結果に反映させるのか、アプローチは多数考えられます。リアルタイムデータを使ってどんな便益をもたらす検索サービスが登場するかに注目が集まります。
4.”ガイドライン違反” – Google日本法人のPageRankがペナルティ受ける
『ペイパーポスト(金銭等の対価を支払いブロガーに記事を書いてもらうこと)をするなら、そのリンクにrel=”nofollow”をつけることで、検索結果に影響を与えないようにしてください』 – Googleは自らの検索品質を維持するために、こうしたガイドラインを設けています。ところが同日本法人が自らこのガイドライン違反に抵触したために、米本社からPageRank減点のペナルティを受けるという珍事が発生しました。この事件を契機にペイパーポストの是非についての議論が進むこととなりました。
関連:Google、ペイパーポストのブログマーケティングで謝罪
5.韓国大手・NAVERが日本市場再参入、新しいカタチの検索サービスに挑戦
他社とは異なる(当時)検索結果の表示形式など検索を便利にするための様々な取組みをしつつも、2005年に日本から撤退していた韓国最大手の検索エンジン・ネイバー。そのネイバーが今年、日本に再上陸を果たしました。検索とコミュニティを融合した、新しいコンセプトを掲げたサービスとなっています。ユーザ同士で情報を収集・整理・共有・検索できる「NAVERまとめ」、ソーシャルメディアを通じてユーザと積極的にコミュニケーションをとる姿勢など、同社の本気度が窺える動きでした。
6.Ask.jp、テクノラティなど、検索サービス終了・撤退も相次ぐ
Bingの登場、NAVERなど新検索エンジンが登場する一方で、今年は撤退や終了が続いた年でもありました。2005年に正式スタートしたAsk.jpは日本市場から撤退※、ブログ検索のテクノラティジャパン、アクセラナビも終了、モバイル検索のCroozも検索技術がエフルートに切り替わり、楽天とFASTのRFMSも終了となりました。バーティカル検索もウェブ検索同様に大手による寡占化が進む傾向となっており、整理・統合が進んでいく可能性があります。
※ 2009年11月に米Ask.comが自ら日本語検索サービスを公開した
7.検索各社、URLを正規化する rel=”canonical” のサポート開始
訪問者にとっては何の問題もなく閲覧できるウェブページも、検索を可能にする取組みを行う検索会社にとっては問題があるウェブページというのは数多くあります。その1つが、コンテンツ(情報)は同じながらもURLが異なる(wwwの有無、パラメータの違い等)ケース。これまで検索会社は各々の検索技術を駆使して自動的に検索結果に表示すべきウェブページ(URL)を決定してきましたが、これをサイト運営者側である程度コントロール可能にするための取組みを、大手検索会社が共同で推し進めました。
それがrel=”canonical”属性を使ったURL正規化(canonicalization)のサポートです。たとえば効果測定用に様々なパラメータを付与している場合でも、検索エンジンにどのURLをインデックスし、被リンクの加点を与えるべきかの指示を行えるようになりました。とりわけ検索エンジンを通じた情報配信の最適化を目指したい企業にとって有用な機能がサポートされた、喜ばしい出来事でした。
関連:検索エンジン3社、正しいサイトURLを認識させるcanonical属性を導入(URLの正規化)
8.Yahoo! JAPAN、コンテンツマッチを終了、インタレストマッチを主軸に
ウェブページの内容に連動して、関連広告を配信するYahoo! JAPANのコンテンツマッチ。2008年から、これに行動ターゲティングの要素を加えた同社のインタレストマッチと平行稼動されていましたが、今年になってインタレストマッチに一本化されました。
インタレストマッチはユーザの過去の閲覧履歴や直前の検索クエリなども参照して、より適切な、生活者の関心にあわせた広告を配信することが可能なものです。今後、精度をさらに改良して広告主・生活者・媒体双方にとってメリットのある商品に成長していくことが期待されます。
9.オーバーチュアがYahoo! JAPANに吸収合併される
Yahoo! JAPANの検索結果に掲載できる、リスティング広告として広く知られた「オーバーチュア」ブランド。実は世界の中で同ブランドが使われていたのは日本と韓国程度で、他はすべてYahoo!に切り替わっていました。その日本でも今年10月、Yahoo! JAPANに吸収合併されることになりました。今後はYahoo! JAPANリスティング広告という名称になりますが、吸収・統合することでYahoo! JAPANの事業と連携した様々な商品やサービスが出てくることが見込まれます。
10.米Adobeがウェブ解析世界最大手・Omnitureを買収
米Adobe Systemsがウェブ解析企業のOmnitureを買収するという大きなニュースがありました。Adobe社はRIA(Rich Internet Application)にOmnitureの解析ソリューションを組み合わせることで評価や効果の測定を実現し、RIA分野での付加価値を提供することに狙いがあると説明されています。
以上
■株式会社アイレップ SEM総合研究所について
アイレップはSEM(検索エンジンマーケティング)専業企業(※1)として日本トップの売上高実績(※2)を持つ、SEMサービスのリーディングカンパニーです。検索連動型広告、SEO、Web解析、LPO(ランディングページ最適化)まで、SEM関連の専門サービスをワンストップでご提供しております。SEM総合研究所は、株式会社アイレップが2004年6月1日にサーチエンジンマーケティングに関する専門的な研究を手がけるシンクタンクとして設立した研究所です。日本最先端のSEMのノウハウ・情報を有するアイレップでは、今後も有益な最新情報を継続的に提供して参ります。
(※1)SEM専業の定義=リスティング広告、SEO等のSEMサービス売上が全体売上の70%以上の事業者
(※2)2009年4-6月の売上高ベース(当社推定)