2020.05.21
カテゴリ:
【新型コロナウイルス対応版】ローカルSEOで上位表示されるための運用法
コラムはアイレップが運営するWebメディア「DIGIFUL(デジフル)」からご覧いただけます。
飲食店などの来店型ビジネスの場合、営業時間やサービス内容、写真などの店舗情報を適切に提供してローカル検索のニーズに応えることで、店舗への集客効果と売上の向上が期待できます。ローカル検索(ローカルSEO)とは、マップ検索などの地域情報(ローカル)を対象としたプラットフォーム向けのSEOのことを指します。昨今では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、臨時休業、営業時間の短縮、またはテイクアウトやデリバリーでの対応など、多くの店舗が特別な対応を余儀なくされています。そんな状況で力を発揮するのが、Googleが提供する無料ツールである「Googleマイビジネス」です。 本記事では、地域によって検索結果が異なるキーワードを対策しているWeb担当者を対象に、正しい情報を掲載し、そのうえでローカル検索(ローカルSEO)において自社サイトが上位表示されるために必要な施策を解説します。
目次
生活者の行動変化と検索結果の見え方
ローカル検索の増加
スマートフォンの普及により外出先で検索することが増え、「近くのカフェ」や「近くのコンビニ」のように自分を基準として検索する生活者の行動が2011年以降、ぐっと増加しています。
(図1:Googleトレンドによる「近くの」の動向)
ユーザーが現在地から検索する場面では、今すぐサービスを利用したいニーズが高く、来店に繋がりやすい傾向があります。飲食店などの店舗を運営しているWebサイトの担当者は、ユーザーがどのような場面で検索しているかを想定して集客を行う必要があります。
エリアに関連するキーワードの例として「カフェ」で検索すると、検索結果の上部に『ローカルパック』と呼ばれる枠が3枠表示されます。
(図2:「カフェ」のPCでの検索結果)
ローカルパックに表示される店舗をクリックすると、Googleマップと連動したローカル検索結果の一覧とクリックした店舗の詳細情報が表示されます。検索ユーザーは表示される営業時間や画像などの店舗情報を見て来店するかを検討します。検索結果のローカルパック3枠内に表示されることがエリアに関連するキーワードで検索しているユーザーの目に留まりやすくするためのポイントです。また、ローカルパックだけでなく自然検索結果に関しても東京と大阪では検索結果に違いが見られます。
(図3:東京と大阪で比較した「カフェ」の検索結果の違い)
同じキーワードで検索しても検索したエリアに合わせてローカライズされた情報が表示されます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による生活者の変化
2020年4月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、日本政府から「緊急事態宣言」が発令されました。外出自粛に伴い、自宅などで食事をとる時間が増えたことによって、「テイクアウト」の検索が4月ごろから大幅に増加しています。
(図4:Googleトレンドによる「テイクアウト」の動向)
ユーザーニーズが大きく変わるなか、サービスを提供する企業や店舗にも変化が求められています。イレギュラーな対応を求められている企業や店舗が多い状況だからこそ、ユーザーには「正しい情報」をタイムリーに届ける必要があります。
ローカルパック順位の3つの要素
Googleは通常の検索エンジンのアルゴリズムと同様に、ローカライズされた自然検索順位のアルゴリズムについても評価要因の詳細を明らかにしていません。ただしローカルパックの順位については、「関連性」「距離」「知名度」が考慮されることを発表しています。
- 検索キーワードとの関連性
検索されたキーワードがどのくらい地域の影響を受け、ビジネスで展開しているサービスと関連性があるかが考慮されます。全国に展開しているサービスであればWebサイトに地域情報を記述し、各エリアでサービス展開していることをGoogleに伝えることが重要です。 - 距離
「恵比寿 カフェ」のように検索されたキーワードに地域名が含まれる場合は、地域名と店舗までの距離が考慮されます。「カフェ」のようにキーワードに地域名が含まれない場合は、検索ユーザーの現在地情報と店舗までの距離が考慮されます。 - 知名度
Web上でリンクを張られたり、クチコミやレビューで言及されていたりするかが影響します。ランドマークとなるような美術館やホテル、有名なお店など、オンラインだけでなくオフラインの知名度も加味されます。
参考:
Google マイビジネスヘルプ
基本的なローカル検索(ローカルSEO)の施策
ローカル検索に対応するには、距離や知名度などWeb担当者がコントロールするのが難しいものもありますが、今回はコントロールが可能なものを紹介します。
Google マイビジネスに正しい情報を登録
Google マイビジネスとは、Google 検索やGoogle マップなどのGoogleが提供しているサービス上に店舗情報を表示し、管理するための無料ツールです。Google マイビジネスを活用することで店舗の営業時間やWebサイト、住所などを掲載することができ、ユーザーが投稿したクチコミに対して返信することもできます。Google マイビジネスを登録していない場合、GoogleがWebサイトなどから店舗情報を引用して自動で作成している場合があります。
(図5:Google マイビジネスに登録していない場合の表示例)
その場合は「ビジネスオーナーですか?」が表示されています。Googleが自動で作成した店舗情報は最新の正しい情報ではない可能性がありますので、オーナー確認の手続きを行い正確な店舗情報を登録することを推奨します。
NAPを統一
NAPとは、Name(店舗や会社の名前) Address(所在地) Phone(電話番号) の頭文字を表しています。ローカル検索では、自社サイトをはじめ被リンクのアンカーテキストや、サイテーション(リンクは張られていないものの、自社サイトについて言及・引用している箇所)において、NAPが統一されていることが重要です。検索エンジンはロボットの為、自社サイト内外での表記ゆれを「異なる情報」として認識してしまうからです。
(図6:NAPの表記ゆれ例。同じ意味の単語でも表記がバラバラになっている)
自社サイト内でNAPが半角全角を含め完全一致することはもちろん、Google マイビジネスに登録するNAPも統一されているかを確認しましょう。
クチコミの管理
クチコミはローカル検索において重要な評価指標となります。ビジネスオーナーは、ユーザーから投稿されたクチコミに対して返信することができるので、コミュニケーションの場としても活用できます。また、検索条件を細かく指定したロングテールキーワードの検索結果には、クチコミの内容が表示されることがあります。ロングテールキーワードでは検索ユーザーの意図が細かく反映されるため、Googleもできるだけ正確に質問意図に答えられる、関連性の高い店舗情報やクチコミを表示します。
(図7:Googleマップ上にクチコミが表示されている例)
投稿機能の活用
投稿機能では、キャンペーンの内容や店舗の特徴などを詳しく掲載することができます。クチコミはユーザーからの発信に依存することになりますが、投稿はオーナーから自由に情報発信ができます。また、投稿の内容は検索結果に影響を与えます。ユーザーが探している情報と、店舗情報の関連度を高めるためにも幅広いキーワードやトピックについての投稿をして、積極的に活用していきましょう。
(図8:Googleマップ上に投稿が表示されている例)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応状況をお知らせする方法
営業時間の変更、テイクアウトやデリバリーで対応している店舗の状況をユーザーにお知らせする方法をご紹介します。
営業時間の変更と臨時休業
Google マイビジネスでは通常の営業時間に加え「特別営業時間」を設定することができます。「特別営業時間」を設定しても、通常の営業時間は変更されないので、通常営業に戻るときに再設定する必要はありません。
(図9:Googleマイビジネスの特別営業時間設定)
臨時休業の場合は管理画面内のメニューの[情報]から「休業マークを付ける」を選択してください。ビジネス情報に「臨時休業」マークを付けてもローカル検索の順位には影響がなく、営業中のビジネスと同様に扱われます。通常営業が再開したら「臨時休業」の設定は忘れずに解除しましょう。
(図10:Googleマイビジネスの臨時休業設定)
テイクアウトやデリバリー対応をお知らせ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けている飲食店向けにGoogleは急遽「テイクアウト」「宅配」「非接触での宅配」などの属性を準備しました。利用できる提供方法には「✓」、利用できない方法には「×」が表示されます。デリバリーサービスに対応している場合は、URLを設定してユーザーがすぐにページにたどり着ける工夫をしましょう。また、「臨時休業」のマークを付けると、プロフィールには「テイクアウト」「宅配」の項目は表示されなくなるので、テイクアウトや宅配のサービスを提供している場合は「臨時休業」のマークを付けないように注意してください。
(図11:Googleマイビジネスの属性設定)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連のお知らせを投稿
ユーザーに最新の情報を「投稿」でもお知らせすることができます。営業時間の変更や、テイクアウト対応、宅配対応などの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連のお知らせは、COVID-19 投稿タイプを選択して投稿しましょう。COVID-19 投稿タイプを選択すると、ユーザーの目に留まりやすいように目立った形で表示されます。
(図12:Googleマイビジネスの投稿作成)
参考:
Google マイビジネスヘルプ
店舗情報を管理する難しさ
自社サイトや自社が運営しているFacebookページやTwitterなどのSNSであれば、担当者が管理してNAPを統一することができます。しかしインターネット上ではポータルサイトやディレクトリサイト、レビューサイトなど多数のパブリッシャーが存在しており、新しいパブリッシャーも次々と増え続けいています。これらに掲載されている全てのNAP情報を把握し、管理するのは非常に困難です。また、昨今のように刻一刻と変化する状況下では、当日になって営業時間の変更や臨時休業することも発生します。自社サイトをはじめ、さまざまなパブリッシャーで変更内容を即時に表示できなければ、せっかく検索して来店したユーザーの満足度を下げてしまう可能性が考えられます。
Web担当者もしくは店舗スタッフが店舗情報を各パブリッシャーでひとつひとつ管理するのは手間も時間もかかり現実的ではありません。この問題を解決するためのツールとして、店舗情報を一元管理し、公式な情報を一括発信できる「Yext(イエクスト)」を紹介します。Yextは、Google マイビジネスをはじめ、Facebook、Yelpなどのさまざまなパブリッシャーと連携しています。
(図13:Yextと連携しているパブリッシャー例)
検索エンジン、地図、SNS、ポータルサイトといったすべてのパブリッシャーに対して、Yextの管理画面上で登録・変更することにより公式な情報をリアルタイムに発信することができます。またサイテーション(自社サイト外からの言及・引用)に関しても、ローカル検索に重要なNAPをはじめ、店舗情報が統一されるというメリットが得られます。
まずは自社サイトとGoogle マイビジネスの店舗情報の見直しをしましょう。正確な情報発信をすることで上位表示されるチャンスが高まります。そして必要があれば、ツール導入も検討に入れてみてください。
Summary
今回は来店型ビジネスを展開しているWeb担当者向けに、ローカル検索の基本を解説しました。ローカルSEOの評価ポイントは、検索ユーザーとの距離やサイト外部からのサイテーションなどコントロールが難しい要素も含まれますが、少なくともGoogle マイビジネスの登録やNAPを統一することで検索エンジンに正しい情報を提示することができます。
Google および Google ロゴは、Google LLC の商標です。
執筆者 DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、(株)アイレップが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。
デジタルマーケティングの最新情報や知見を得るための信頼できる情報源の1つとしてお役立てください。