2013.07.05
カテゴリ:
アイレップ、Googleのペンギンアップデート2.0に伴う
検索結果表示順位の変動調査を実施
~今後も続くアップデートにより、検索結果にさらに大きな順位変動の可能性が~
株式会社アイレップ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:紺野俊介、以下アイレップ)SEM総合研究所は、Googleが日本時間2013年5月23日(米国現地時間5月22日)に適用開始した大規模な検索エンジンアルゴリズムの更新(以下、ペンギンアップデート2.0)において、その適用に伴う“検索結果表示順位の変動”について調査を実施いたしましたので発表いたします。
◆調査背景:
アイレップは、これまで広告主のオンライン上のマーケティングを最適化する「デジタルマーケティングエージェンシー」として、検索エンジン最適化(Search Engine Optimization、以下SEO)に関する独自の研究とソリューションサービスを提供してまいりました。
Googleはこれまで、一定周期ごとに比較的大きな検索ランキングアルゴリズムの変更や更新を行ってきており、その中で(2012年4月より始まった)“ペンギンアップデート”は、不適当な大量の低品質ページからのリンクまたはリンク自体の品質・信頼性が著しく低いものを対象に警告を出す、Webスパム対策のためリリースされたアルゴリズムです。この影響により、検索順位の下落やインデックスからドメインごと削除されるといった事態に陥るケースも多く発生しており、どことなく脅威を感じている企業も少なくありません。
そこでこの度、アイレップでは、Googleが実施を発表した「ペンギンアップデート2.0」に伴い、検索結果の表示順位にどのような変動が見られたかに関する本調査を実施いたしました。
≪調査サマリー≫
(1) 日本におけるペンギンアップデート2.0適用に伴う検索結果表示順位の変動は軽微 国内で表示されるGoogle検索結果の場合、ペンギンアップデート2.0そのものよりも、事前に実施された「検索結果の多様性」アップデート適用の影響度の方が大きい結果となっている。 (2) ペンギンアップデート2.0の影響を受けたWebサイトの特徴 外部リンクの評価アルゴリズムの精度がさらに向上したことで、低品質なリンクやコンテンツ内容の乏しいページからのリンクを集めている一部のWebサイトやページ群は、これまでよりもさらに厳密に評価され、検索結果表示順位に影響を受けている。 (3) ペンギンアップデート2.0適用後の動き Google はアルゴリズム改善のためアップデートを繰り返し実施しており、公式発表にない大きな検索結果表示順位の変動も確認されている。今後もさらに大きな順位変動が起きる可能性がある。
◆調査目的:
本調査は、GoogleがWebスパム対策のために適用開始した大規模な検索エンジンアルゴリズムの更新(ペンギンアップデート2.0)において、その適用に伴う“検索結果表示順位の変動”について課題傾向を明らかにすることを目的としています。本調査結果から導き出される課題傾向の情報が、企業の広告・マーケティング・Web担当者のSEO戦略に関する取組みの基礎データとして活用されることを見込んでいます。
◆調査概要:
調査対象 : Google検索エンジン(日本国内)においてキーワード450種(表1)の検索結果に表示されるWebサイトまたはページのURL、およびそれら検索結果表示順位の推移。
調査手法 : アイレップが独自に構築した検索結果表示順位取得環境による。
調査期間 : 2013年5月6日~6月13日 (39日間)
調査対象となるキーワード群 :
検索エンジンユーザーの検索目的や指向に応じて9ジャンルに分け、各ジャンルから5種の単体または複数の掛けあわせキーワード群50種づつ、合計450種のキーワードを調査および検証の対象とした。
検証方法 :
調査対象となる各キーワードの検索結果に表示されるWebサイトを上位100位まで、50位まで、20位までと階層を分けて調査対象とし、調査対象キーワードごとに“各Webサイトの表示順位の上昇または下降の変動幅”の平均値が、ペンギンアップデート2.0適用の前後でどのように推移したかを検証した。
ペンギンアップデート2.0に伴う検索結果表示順位の変動調査結果
■ペンギンアップデート2.0適用前後の動き
図1は調査対象キーワードすべての検索結果で、上位100位に表示されるWebサイトすべての順位上昇または下降による変動幅から平均値を算出、2013年5月6日以降の推移を示したものである。
折れ線グラフは日別平均の変動幅を示し、着色された面グラフは過去10日間の変動幅平均値を示す。(例:5/15の場合 5月6~15日の変動平均値 )。それぞれ、日別と過去平均を観測することで、突発的なアルゴリズム変動の把握や、一部極端に順位変動したWebサイトによる影響を避けつつアルゴリズムそのものが変動を繰り返しているのか、あるいは安定期に入っているのかを検証できる。
変動幅を観測すると、ペンギンアップデート2.0以前に予告されていた「検索結果の多様性」に対応したアップデートの影響の方が、ペンギンアップデート2.0よりも大きいという結果になった。「検索結果の多様性」とは、2013年5月15日(米国現地時間)に発表された、検索結果に表示されるドメインの多様性に関するアルゴリズムの変更で、同じドメインのページがGoogle検索結果に表示される件数が減少する。
具体的には、あるクエリに対する検索結果nページにおいて、同ドメインのページが通算4件程度表示されると、以後の検索結果ページ(nページ以降)にはそのドメインのページが表示されにくくなる。検索結果に同じドメインの表示機会が制限されることで、ユーザーはより幅広いWebサイトに接することができ、検索クエリにマッチした情報を得る機会を拡大するものである。
また、過去10日間の変動幅平均値は5月22日以降右肩上がりを続け、検索結果上位100位以内の範囲では不安定な状態が1週間程度続いている。この観測結果は、5月22日に「検索結果の多様性」アップデートによる変動であると推測される。
図2は上位50位と20位までに示されるWebサイトすべての順位上昇または下降による変動幅から平均値を算出、それぞれの2013年5月6日以降の推移を示したものである。
上位50位までの階層の平均変動幅は、上位100位までの階層と同じ傾向で、先述の「検索結果の多様性」の影響を受けている。ユーザーと多様なWebサイトとの接点拡大を目的としたアップデートが、上層にも下層にも多く表示されている同じドメインのページ群の表示順位変動と密接に関係することで、変動幅の平均値に大きな変化をもたらしている。
一方、上位20位までの階層では、順位の変動幅そのものは小さいものの、ペンギンアップデート2.0の影響の方が大きい。ユーザーのクリック(情報を閲覧しようとする)傾向が非常に高く、サーチエンジンマーケティング施策の激戦区であるがゆえに、順位上昇を狙った情報の関連性の低い外部リンクによる施策や、機械的に生成された外部リンクによる施策など、正しい言及とはいえない被リンクを受けるWebサイト群の表示順位変動幅が平均値に大きな影響を与えている。
■ペンギンアップデート2.0の適用から1週間後の推移
Googleの検索アルゴリズムのアップデートは、その後も検索順位の変動が大きく不安定な状態が続く事が多い。しかし1週間ほどすると検索順位の変動が収まり始め、安定期を迎える。今回のペンギンアップデートも同様で、図3で示すように5月31日から過去10日の平均変動幅が減少を始め、6月上旬まで安定した推移を示している。
■ジャンル別キーワード群ごとの影響度
さらに、ペンギンアップデート2.0適用前後と、その後順位変動が収まり安定化しはじめる5月31日時点での順位変動推移をキーワード群のジャンル別に検証した。図4は検索規模の大きなキーワード50種(FX・クレジットカード・パソコン・ホテル・マンション・求人・中古車・転職・不動産etc.. 以下ビッグキーワードと表記)の順位変動幅の推移を示しているが、やはりペンギンアップデート2.0の影響と思われる直接的な順位変動は観測されてはおらず、上位50位以内では「検索結果の多様性」アップデート適用の影響の方が大きい。一方で、上位100位以内については5月23日に変動が見られるものの、ビッグキーワードでの下位表示の場合、ペンギンアップデート2.0の影響というより、後述の日常的なコンテンツ更新、Webサイト構成要素による変動要因の方が大きいと考えられる。
また、先述の表1の9ジャンルからランダムに抽出したキーワード群(キーワード例は表1参照)の検証についても同様で、図5では例として「地域名×人材」「その他」の掛けあわせキーワードの順位変動推移を示しているが、ビッグキーワード群と同じく、ペンギンアップデート2.0の影響よりも「検索結果の多様性」アップデート適用の影響の方が目立つ結果となっている。
■ペンギンアップデート2.0の影響を大きく受けたキーワード群の特徴
一方、ペンギンアップデート2.0で大きく順位変動したWebサイトのページをURL単位で検証したところ、その多くが「商品や物件ページが在庫払底で消失または変更」「サービスページが終了または変更」といった要因で、Webサイト側のコンテンツ構成変更によるものが大半であった。
とはいえ、明らかにペンギンアップデート2.0の影響で検索結果の表示順位が大きく低下、あるいは観測(上位100位)圏外となったと思われるURLも当然ながら存在している。それらのページ、あるいはWebサイトには以下のような特徴がある。
★外国語サイトへの被リンク設置
例えば、中国語やタイ語、韓国語など、日本語以外のWebサイトに、日本語キーワードをアンカーテキストに含めた複数のリンクを羅列しているページ。言語が異なるページへのリンクが問題なのではなく、情報に関連性のない異言語のアンカーテキストで張られているリンクの評価を変更したと推察される。ただし、コーポレートサイトから世界各国支店サイトへのリンク(=異なる言語サイトへのリンク)や、日本語記事の中で外国企業を紹介したリンクなどが問題になることはない。
★テンプレート化されたリンク集を多数のWebサイトに掲載
検索順位上昇を狙うWebサイトへリンクを複数並べた簡単なリンク集を作成し、世界中の無料ブログや独自ドメインで立ち上げたWebサイトに掲載し、順位上昇を目論むWebサイトへの被リンクを集める手法を用いているページ。
★1行文章紹介の被リンク
無料ブログのアカウントを多数取得し、全く脈絡のない文章を入れながら検索順位上昇を狙うキーワードを挿入し、かつ、それらキーワードに施策の対象となるWebサイトへのリンクを埋め込んでいる外部施策サイト群から、被リンクを集めているページ。
★品質が低い、またはシンジケーション展開型ディレクトリ※への掲載
掲載されるWebサイトの掲載可否基準が曖昧、または基準が存在しないため、掲載サイトの品質管理がなされていないディレクトリへの掲載、ユーザビリティを考慮しない順位上昇だけを目論むようなディレクトリへの掲載を行なっている。
※シンジケーション展開型ディレクトリ
ディレクトリ登録データを他サイトにも配信し、拡散していくディレクトリ。コンテンツ重複を招くため、効果は期待できない。
★コンテンツ情報が乏しいページからの被リンク
検索結果の表示順位を操作しようという目的のスパムリンクの他、「自然発生的に生まれたリンクだが、それほど評価すべきでないリンク」を受けているページに対しても調整が行われている。Webサイト運営者がコントロールできるものではないが、これらの評価対象とならないような自然発生的なリンクが、決してWebサイトに何らかの悪影響(スパム認定など)を与えるわけではなく、あくまでより正当な評価をするようになったということであり、悪いリンクという短絡的な判断をしないよう、注意が必要である。
これらの特徴は、決して目新しいものではない。ペンギンアップデート2.0はこれまでGoogleが行なってきたアップデートと同様に、Webスパムを駆使して順位を操作しようとする悪意のあるWebサイトの除外を目的としていることに変わりはない。検証の結果からみて、今回のアップデート適用にそれほど大きなインパクトがあったわけではないが、様々な順位操作手法を見分けるアルゴリズムの精度を、より高めたアップデートであったといえるだろう。
■ペンギンアップデート2.0から2週間目で新たな大変動
次ページの図6に示す通り、2013年5月23日(日本時間)のペンギンアップデート2.0から2週間が経過した6月6日、大規模な検索結果順位の変動を観測している。
この順位変動についてはGoogleから公式なアナウンスはされておらず、ペンギンアップデート2.0から継続的に行われる調整による変動と考えられる。
米Google Webスパム対策チームトップのMatt Cutts氏は、2013年6月11日に米国シアトルで開催された“SMX Advanced Seattle 2013” のセッション「You&A With Matt Cutts」において、「2012年4月末に導入された最初のペンギンアップデート1.0は、Webサイトのホームページ(トップページ)のスパム排除を目的としたもの。ペンギンアップデート2.0は、主に個別のWebページを標的としたもの。」と言及している。
検索アルゴリズムのアップデートは、すべてのWebスパムや検索クエリに効果をもたらすわけではなく 、Google は日々検索結果の改善を目的として、様々な試みをもってアップデートを実施している。今後もリンク分析を強化したアルゴリズムのロールアウトが予定されているとの情報もあり、さらに大きな検索結果の順位変動が起きる可能性は否定できない。
アイレップでは、今後もデジタルマーケティングに関する調査・研究を進め、実践に役立つ価値の高い情報収集や分析調査を実施することで、より高度なマーケティングソリューションを提供できるよう取り組んで参ります。
以上
株式会社アイレップについて
アイレップは広告主のマーケティングを最適化する「デジタルマーケティングエージェンシー」です。デジタル領域における、リスティング広告、運用型ディスプレイ広告、SEO(検索エンジン最適化)、SMO(ソーシャルメディア最適化)、Web 解析、LPO(ランディングページ最適化)まで、多様化する広告手法やデバイスに対応した質の高い専門サービスをワンストップで提供し、企業価値の向上に努めてまいります。